小径自転車(折りたたみ自転車・ミニベロ)カスタマイズ・改造・ドレスアップ
④専用工具あり 調 整あり
BB交換

用意するもの
カートリッジ式BB(ボトムブラケット)
太いボルト(長さは50mm程)と同サイズのナット(カップアンドコーン式BBの右ワンを外す時に使用)

必要工具
ボトムブラケット用工具(対応BBに合ったもの)
フックスパナ(フックレンチ、カップアンドコーン式に使用)
六角レンチ
コッタレスクランクリムーバー
オクタリンククランク抜き(BBがオクタリンクの場合)
モーターレンチかモンキースパナ


クランクが取り付けられる軸の部分をBB(ボトムブラケット)と呼びます。漕ぐ度に回転する部分で、しかも体重が掛けられるという、精度と強度が求められる重要な部品です。BBが取り付けられているフレームの筒状の部分をBBシェルと呼びます。
消 耗すると漕ぎが重くなったりガタが出てきたりしますので、走行距離や年数により交換が必要になります。一般的なママチャリや折りたたみ自転車の多くには、 この部分が交換しにくい、調整のやりにくい、雨風に弱いタイプのBBが使われていることが多いので、早い段階で交換しやすい調整がほぼ要らない、雨風に強 いカートリッジ式のBBに交換しておくことをおすすめします。
BB交換は、クランクを外す工程が必ず入ります。クランクを一般的なものからホローテックⅡなどに交換する際には、BBも一緒に対応品に交換する必要があります。面倒だと思いますので、一緒に行ってしまうことをおすすめします。

BBにはいくつかタイプがあります。

カップアンドコーン式
BB シェルの両側から蓋のようなワンというパーツを嵌めて、シャフトを挟みこんで固定している方式です。シャフトとワンはベアリングで接しています。シャフトとワンの隙間か ら雨が入りやすくなる為、プラスチックのカバー等を付けたりします。蓋のネジ込み具合で軸の回転のガタを調整します。ママチャリや安い折りたたみ自転車等 に広く採用されています。古いタイプのスポーツ車にも、たまに使われています。
カートリッジ式
文字通りカートリッジ型で、シャフトとベアリングが一体になっているタイプです。本体をBBシェルにねじこんで、反対側から蓋をすれば簡単に取り付けが可能です。雨に強く調整も不要。スポーツタイプの自転車のほとんどはこのタイプを採用しています。

BBシェルにはサイズ(幅)があり、68mmと70mmが存在します。
一般的なのは68です(たまにフレームの精度が低く、計測すると70近いものもありますが、中身はまず間違いなく68だったりします)。
BBシェルの左右のネジ山は、規格により二種類が存在します。
右側だけが逆ネジ(普通のネジと締まる方向と緩む方向が逆)のJIS規格(ISO/BSC/BSA規格とも言います)と、左右共に普通のネジ山のイタリアン(ITA)規格です。
シマノ製のものはJIS規格です。イタリアンは珍しい分、逆にはっきり表記されているので間違えることはあまり無いと思います。
※イタリアンのBBの対応シェル幅は70mmです。通常は68はJIS、70はイタリアンと覚えておいて特に困らないと思います。

BBには軸の長さがいくつか用意されています。これを無視すると、クランクが外側に振れ過ぎたり、逆に内側に引っ込み過ぎたりしてトラブルの原因にもなります。交換用にBBを購入する際には、元々付いていたBBを見て軸長の表記を控えておくことをおすすめします。
※68-115などというように、シェル幅と軸長が箱に表記されていますので、すぐに確認できると思います。

BBは軸の形状によりさらにタイプが分かれます。
・スクエア
BBの軸が四角いもの。奥にいくにつれて太くなる。一般的なママチャリや折りたたみ自転車の他、とても沢山の自転車に採用されている規格。

☆スクエアタイプのBBです。軸の中心にボルト用の穴があるタイプと、軸の先端にネジ山があるタイプがあります。

・オクタリンク
太い丸いBB軸の端に溝が切られたもの。スポーツ車の一部の採用されています。溝の深さが深いタイプと浅いタイプがあって、互換性はありません。クランク自体に「オクタリンク」と表示があるものがほとんどなので、区別はし易いと思います。

☆オクタリンクBBです。

・ホローテックⅡ
スポーツ車で比較的多く採用されています。BB軸にクランクを嵌めるのでは無く、クランクの一部が軸になっています。クランクの中心(チェーンリング側)にボルト穴が無いので区別出来ると思います。


☆ホローテックⅡのBBパーツ。軸は無く、ちくわ状になってます。

・その他海外メーカーのもの
カンパニョーロ社のスクエアタイプとシマノ製のスクエアタイプはそっくりなのに互換性がありません。様々な規格がありますので、その都度確認が必要です。

工具についてですが、BBは対応する専用工具でなければ取り付けも取り外しもほぼ不可能です。購入し、交換するBBに合った工具をその都度購入する必要があります。


☆BB工具のいくつか。カオスです。

最 初に説明したママチャリや折りたたみ自転車でよく使われているカップアンドコーン式のスクエアBBについては、ロックリングをフックスパナで外すことは共 通ですが、あとの作業は、BBの形状が微妙に違う場合がほとんどなこともあり、単純に、この工具で、という説明が出来ません。



BB交換
まずはクランクを外します。
(ホローテックⅡについては後述します)

クランクの中心の固定ナットもしくは固定ボルトを外します。プラ製のカバーが付いている場合は隙間にマイナスドライバーを差し込んで回すか、飛び出ている部分をプライヤーなどで掴んで引っ張れば外れます。
固定ナットの場合は、コッタレスクランクリムーバーの頭側がナット型に窪んでいるので、そこを合わせてスパナやモンキースパナで反時計回りに緩めれば外せます。固定ボルトの場合は六角レンチを差し込んで反時計回りに緩めて外します。
中 から露出したクランク軸を見て、BBタイプを判別します。四角い軸ならば、コッタレスクランクリムーバーを、ネジを回して一番長くした状態で、クランクに 手でねじこんでいきます。丸い軸のオクタリンク式の場合は、オクタリンククランク抜きを軸に蓋をするように嵌めて、その上からコッタレスクランクリムー バーを手でねじこみます。
ねじこむ時に固いようであれば、ネジ山にしっかり嵌っているかを確認した上で、スパナ等を使ってもかまいません。がっち り締めこむ必要はありません。ある程度奥までねじこめれば大丈夫です。浅すぎだとネジ山を破壊してしまうので、ちゃんと固定ナットを外したか確認した上 で、もう一度ねじこみ直して下さい。


☆BB交換にはクランク外しの作業がどうしても必要です。

コッタレスクランクリムーバーの頭のネジ部分を時計回りに回して締めこんでいきます。最初は手で、固くなったらスパナかモンキースパナで締めこんでいきます。
大丈夫か?と思うくらい固くなっていても、きちんと工具をねじこんであれば心配要りません。そのまま力を込めて締めていくと、いきなりスルっと緩くなり、やがてクランクがBB軸からスポっと外れます。
この時に左右の重量バランスが崩れていきなりクランクが回転してぶつかったりしますので、外す際にはあらかじめ外す方のクランクを上、逆側は下になるように動かしておくと良いです。
作業は右側でも左側でも共通です。
チェーンが外れますが、BB軸に引っかけておいて下さい。

ホローテックⅡクランクの場合

左クランク(チェーンリングが無い方)の根元にある、大きな丸いキャップのようなボルトをホローテックⅡ用 工具で外します。すぐ近くにある二つのボルトを六角レンチで半時計回りに緩めます。左クランクを持って揺らすようにしながら外側に引きだすように動かす と、ガタガタ言いながらゆっくりクランクが外れます(スポッと抜けることはあまりありません)。この時に左右の重量バランスが崩れていきなりクランクが回 転してぶつかったりしますので、外す際にはあらかじめ左クランクを上、右クランクは下になるように動かしておくと良いです。この時点でクランクの固定は解 除されているのでチェーンリング側からまっすぐ引き抜けば、シャフトごとクランクは抜けます。チェーンを外し、外したチェーンは邪魔にならないようにBB 周辺に引っかけておいて下さい。


カートリッジ式のBBであれば、対応工具を用意して、BBを外します。


☆カートリッジ式のBBは取り外しが本当に簡単です。

前述したように、普通はほとんどの自転車のBBシェルのネジは
「右が逆ネジ・左は正ネジ」
ですので、それだけを注意して左右共々外していけば良いだけです。
ここで言う右と左は、自転車にまたがった状態での右と左で説明しています。

問題はカップアンドコーン式のBBです。
まずは左側のロックリングをフックスパナで引っかけて反時計まわりに回して外します。


☆この先端のツメをロックリングの溝にひっかけて梃子の原理で緩めます。

本来はロックリングを外せばワン(蓋)の部分は手で回せるはずなのですが、まず、回りません。
ワ ンの形状を良く観察し、ピンが入る穴があるならピンスパナ、挟んで回せそうな出っ張りがあるならモーターレンチ、という具合に、いろいろ試してみて下さ い。とにかく左側だけでも工夫に工夫を重ねて外してしまって下さい。経験上右ワンよりも左ワンの方が外しやすい場合が多いです。




☆いろいろやってみることをおすすめします。穴や溝が二つ空いているだけ、という場合もあり、ピンスパナを使う方も多いですが、ピン部分の破損の可能性が高いです。バイク用品のユニバーサルホルダーという工具が以外とぴったり合ったりします。

右ワンがどうしても外れない場合のやり方

左側のワンを外したらBBのシャフトを抜き、中のベアリングを取り出して、BBシェルの内側をパーツクリーナー等で綺麗にします。
そ うしたらBBシャフトと同じくらいの太さのボルトとそれに合うサイズのナットを用意します。BBシェルの内側からボルトを入れ、右側のワンのシャフト穴を 通して外に出します(ボルトの頭はシェル内)。右ワンの外側に出てきたボルトにナットを嵌めて、どんどん締めこんでいきます。
右ワンは逆ネジですので、ボルトと締めこむことで、ワン自体は緩んでいく構造になります。思い切り締めこんでいくと、右ワンも外れると思います。ボルトを締める工具は、モーターレンチ等の丈夫で力の込めやすい工具がおすすめです。


新しいBBを専用工具でBBシェルにねじこんでいき、固定します。
クランクを取り外した時と逆の手順で取り付けたら終了です。


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